酒モン ゲットだぜ!!

  酒を飲んでいて遭遇・捕獲した酔っぱらいのモンスター達、略して「酒モン」について綴っていくブログ

酒を飲んでいて遭遇したモンスター達について綴っていくブログです。 長編・短編・色々とございます。

戦争反対のおっさん

今回は、門真市駅大阪府門真市)で

飲んでいた時に捕獲した

酒モン(酒を飲んでて捕獲したモンスター)の

話だ。

 

門真市駅京阪電車

大阪モノレールの乗り換え駅で、

駅のすぐ西には中央環状線近畿道という

大きな道も通っていて、

字で書くとものすごく都会っぽいのだが、

実際はめちゃくちゃええ感じの下町である。

どういう理由かは分からないが、

駅前に飲み屋が固まっているのではなく、

街中に点々と飲み屋が分布していて、

思わぬ路地に居酒屋があったりするので、

酒モンハンター達の間では、

探検しがいのある街として広く知られている。

いや、酒モンを探してる人間なんか、

世界中で俺しかおらんし!

 

その日、僕は何もかもが嫌になり、

17時くらいに仕事を切り上げ、

意気揚々と京阪電車に乗り込み、

門真市駅に飲みに出掛けた。

 

いや、何もかも嫌になったのに、

意気揚々と出掛けるのはおかしいやろ?

 

そんなことはいいとして、

僕は駅から徒歩10分くらいのところにある、

カウンターが10席くらいの居酒屋に入った。

ここは以前、飛び込みで入ったお店で、

映画やドラマで昭和のシーンを撮影するのに

最適な感じの古びたお店なのだが、

店内は清潔で、料理が全て美味しく、

ママさんの人柄もいいので、

何度か通っていたお店である。

 

店内には常連のおっさんが2名おり、

僕も常連さん達と並んで椅子に座った。

そして、瓶ビールと焼き魚を頼んで、

飲み始めた。

程なく、ママが話しかけてきて、

そこに常連さんも加わり、

4人で話を始めた。

最初は阪神タイガースの負けっぷりの話などの

他愛もない話をしていたのだが、

しばらくすると、手前に座っていたおっさんが

急に真剣な顔になり、僕に質問してきた。

 

「兄ちゃんはどう思う?」

 

世界で最も抽象的な質問をされた僕は、

キョトンとした顔でおっさんを見つめる。

するとおっさんは、さらに質問を続ける。

 

「兄ちゃんの世代は、どう思ってるんか

 教えて欲しいねん。どう思う?」

 

どう思う?と聞かれても、

お前の質問の意図が分からん、

としか思えない僕は、

返答できないまま、

しばらくキョトンとした表情で

おっさんを見つめていた。

すると、おっさんは

ちょっと苛立った感じでこう言った。

 

「ロシアとウクライナのことやがな!」

 

いや、おっさん!

なんか苛立った感じで言うてくるけど、

「どう思う?」って質問で、

そのことを聞かれてるとは分からんぞ!

 

仕方ないので、当たり障りなく、

まさか本当に戦争になるとは

思いませんでした、

と僕が答えると、

おっさんはこう言った。

 

「俺もまさかにロシアがウクライナ

 ホンマに侵攻するとは思わんかったわ。

 しかもロシアは核兵器を使用するかも

 しれんってニュースで言うてたんや。

 そうなったら、えらいことやで。

 下手したら第三次世界大戦や。」

 

深刻な表情で言った後、

おっさんはさらに言葉を続ける。

 

「学生の時、社会の授業で

 非核三原則って習ったやろ?

 あんなんもロシアは無視なんや。

 ひどい国やで。

 吐かず 励まず はち切れず 

 の非核三原則を、1つも守ってないんや!」

 

いや、おっさん!

ツッコめるところが多過ぎるぞ!

吐かず 励まず はち切れず って、

全部が無茶苦茶やん!

三原則の3つとも間違ってるし!

普通、一個くらいは正解するやろ!

確かに、核兵器がはち切れたらアカンけど!

あと、なんで「は」で韻を踏んでるん?

 

この話を横で聞いていた

ママともう一人のおっさんは、

おっさんの提案する「ニュー非核三原則」に

別にツッコむこともなく、この流れで

「戦争はいけない」

という話を続けていた。

僕は、もしかして知らない間に

非核三原則が変更になったのかと思って、

不安になり、スマホで調べてみた。

はち切れず、の文字はどこにもなかった。

 

 

今回捕獲した酒モン

・高揚タイプ

・レア度・・・☆☆☆☆

子供を過小評価するおっさん

緊急事態宣言とまん延防止等重点措置が続き、

全然飲みに行けてませんでしたが、

ようやく飲みに行けるようになってきたので、

また少しずつ更新していきますね!

 

今回は、西三荘(大阪府門真市)で

飲んでいて捕獲した

酒モン(酒を飲んでて捕獲したモンスター)の

話だ。

 

西三荘は、めちゃくちゃマイナーな駅だが、

駅前にあのコブラトップの

CDラジカセで有名な

パナソニックの本社があり、

周辺には関連する町工場も多く、

いい飲み屋が沢山ある街だ。

いや、コブラトップのCDラジカセって

1990年代に流行っためっちゃ昔のやつやん!

 

そんな文字数稼ぎはいいとして、

コロナのせいで景気も悪く、

この2年で7kgも太ったのもあり、

何もかもが嫌になった僕は

西三荘に飲みに行くことにした。

いや、景気はともかく、

太ったのは自己責任やろ!

 

そんな文字数稼ぎはいいとして、

僕は、西三荘の駅から

5分ほど歩いたところにある居酒屋に入った。

その居酒屋は最近開店したお店で、

「お酒はぬるめの燗がいい

 お店は汚い方がいい」という

八代亜紀の舟唄の歌詞の教えを

忠実に守っている僕としては

あまり入らないタイプのお店なのだが、

店の前に掲示されていたメニューを見ると、

いかにも居酒屋という感じの

おつまみが充実していたので、

思い切って入ってみた。

 

いや、そんな歌詞ないし!

 

そんな文字数稼ぎはいいとして、

僕は生ビールとだし巻きを注文し、

小さなテーブル席に腰掛けて飲みはじめた。

カウンター席ではおっさんとおばはんの

二人組が飲んでおり、

おっさんはええ感じに出来上がっていたが、

おばはんは何故か酒を飲まず、

一心不乱に焼きそばを食べていた。

店内のテレビではNHKの動物の生態を

紹介するような番組が流れていたが、

おっさんは、焼酎のお湯割りを飲みながら、

一心不乱にこの番組を見ていた。

 

いや、一心不乱って、さっき使ったから、

違う言葉で表現した方がよくない?

一応、プロなんやし。

 

そんな文字数稼ぎはいいとして、

テレビではカラスの生態を取り上げていた。

カラスは、食べ物が多く捨てられている

飲食店が多い地域を把握し、

その周辺のゴミを集中的に漁っている、と

いうような話の後、

「カラスは7〜8歳の子供と同じくらいの

 知能があると言われています」

というナレーションが流れた。

 

カラスが頭がいいというのは、

結構、有名な話だと思うのだが、

それを聞いたおっさんは、

こちらがビックリするほど驚いて、

こう言った。

 

「え〜っ! 

 カラスの知能って、

 7〜8歳の子供と同じくらいなん!?

 そうなんや! 子供ってアホなんやな!」

 

いや、おっさん!

驚くんやったら、

「カラスって賢いんやな!」の方やろ!

子供の知能を低く見過ぎやろ!

 

その頃、おばはんはまだ一心不乱に

焼きそばを食べていた。

 

 

今回捕獲した酒モン

・高揚タイプ

・レア度・・・☆☆☆

聞いているおっさん

今回は、梅田(大阪市北)で

飲んでいて捕獲した

酒モン(酒を飲んでて捕獲したモンスター)の

話だ。

 

梅田は大阪いや、西日本一の繁華街で、

JRの他、阪急、阪神などの私鉄が・・・

え? 梅田のことなんか、

みんな知ってるし、説明はいらんって?

 

ともかく、打ち合わせが終わった後、

緊急事態宣言も解除されたし、

ちょっと飲んだろかしらんと思い、

仕事仲間と軽く飲みに出掛けた。

僕はいわゆる「繁華街」で飲むのは

苦手なので、普段は梅田で飲むことは

ないのだが、久しぶりの外飲みということで

テンションも上がり、

突き出しのレンコンとゴマを和えたみたいな

変な業務用のやつですら美味しく感じた。

いや、さすがにあれは不味かったけど・・・。

とにかく、そんな楽しい場に、

いきなり酒モンが出現した。

 

僕らは仕事の話をしながら飲んでいたのだが、

会話の中で「台本」「開演時間」

「リハーサル」などの言葉が出ていたのを、

隣で一人で飲んでいたおっさんが

聞いていたらしく、

いきなり会話に入ってきた。

 

「リハーサルって何回やるん?」

 

「イベントの仕事してるん?」とかの質問から

スタートするのではなく、

いきなり、リハーサルの回数を聞かれて、

ビックリしたのだが、

居酒屋で知らんおっさんと

会話ができるのも久しぶりなので、

2回くらいですかね、と笑顔で答えた。

その後、おっさんと会話が続くわけでも

なかったので、またこちらで話をしていた。

 

知人との話題はプロレスの話になり、

ビッグ・ジョン・スタッドがなぜ

マスクドスーパースター2号になったのか?

という、もはや世界中の誰もが興味がない

話題で盛り上がっていた。

するとおっさんが、

その話を聞いていたらしく、

またいきなり会話に入ってきた。

 

「覆面レスラーって、外食の時は

 マスクはどないしてるん?」

 

僕が小学生の頃の愛読書だった

ケイブンシャのプロレス大百科に

書いてあるような質問をしてくるおっさん。

 

口元が大きく開いている

食事用の覆面があるみたいですよ、と

ケイブンシャのプロレス大百科に

書いてあったことをそのまま答える僕。

その後、おっさんと会話が続くわけでも

なかったので、またこちらで話をしていた。

 

知人との話題はお菓子の話になり、

ルマンドホワイトロリータ

バームロールのどれが美味いか?という

40代の働き盛りが、今、議論をする必要が

全くない話題で盛り上がっていた。

するとおっさんが、

その話を聞いていたらしく、

またまたいきなり会話に入ってきた。

 

「俺はバームロールや!」

 

このおっさん、他人の話を

ずっと聞いてるんやな、と思いつつ、

あぁ、そうなんですか、一緒ですね!

と答える僕。

その後、おっさんと会話が

続くわけでもなかったので、

僕はトイレに立った。

そして、僕がトイレから帰ってきた途端、

おっさんは話し掛けてきた。

 

「ぎょうさん小便出てたなぁ。

 ジョボジョボいうてたで。」

 

いや、おっさん!

話だけやなくて、

トイレの音まで聞いてたんかい!

 

その後も何度かおっさんは

話し掛けてきたけど、

最後までちゃんとした会話のキャッチボールは

してくれなかった。

 

今回捕獲した酒モン

・迷走タイプ

・レア度・・・☆☆

水銀のおっさん

今回は、僕の超ホームグラウンドの

淡路(大阪市東淀川区)で飲んでいて捕獲した

酒モン(酒を飲んでて捕獲したモンスター)

の話だ。

 

昨年は、新型コロナウイルスの大流行で、

全く飲みにいけなかった。

そのために酒モンの捕獲量が激減し、

そのストレスで家飲みが増え、

5キロも太った僕であったが、

緊急事態宣言が解除されたのと、

知人からの呼び出しがあったので、

久々に淡路駅に降り立った。

 

いや、酒モンを捕獲するのには

飲みに行ってるってことで、

それが出来ずに家飲みになったから太るって

どんな理屈なん?

ともかく、現在、太り腐っている僕は、

淡路駅から飲み屋街に向かった。

っていうか、駅前がすぐ飲み屋街やねんけど。

 

知人から、あるお店に呼び出されたので、

そのお店にまっすぐ向かっても

よかったのだが、

久々に淡路に来たので、旧知の店を周り、

みんなが元気かどうかを確かめながら、

目的の店に向かった。

コロナの前には毎週のように行っていた

居酒屋さんが何軒もあるのだが、

どの店も閉店せずに営業していて、

マジでちょっと泣きそうになった。

そして目的のお店に着いたのだが、

この感傷的な気持ちがすぐに消えてしまう程の

酒モンがいきなり出現した。

 

僕は店に入り、いつものテレビの横の席に

座ったのだが、

生ビールを頼んだ瞬間に、

横の席のおっさんが話しかけてきた。

おっさんはおそらく70歳くらい。

定年した後、のんびり暮らしていて、

毎日この辺りで飲んでいるらしい。

めちゃくちゃ喋りのおっさんで、

僕の生ビールが運ばれてきた頃には、

すでにお互いの出身地や仕事などの

自己紹介がすっかり終わっているという

状態だった。

 

店内のテレビを見ながら、

おっさんとあれやこれやと

話をしていたのだが、

僕が3杯目の生ビールを頼んだ時、

おっさんが急に声のトーンを落として

こう言った。

 

「兄ちゃん、あんまり冷たいものは

 飲まん方がええで。」

 

さっきまで、ヘラヘラ喋っていたおっさんが

急に真面目な感じになったので、驚いて

なんでですか?と聞いてみた。

するとおっさんは

その驚愕の理由を話し出した。

 

「冷たいものには水銀が入ってるから、

 体に悪いんや。

 だから俺は夏でも冷たい酒は飲まへん。」

 

確かにおっさんは、さっきから

焼酎のお湯割りしか飲んでいなかった。

驚いた僕が、そうなんですか?と聞くと

おっさんはさらに続ける。

 

「あのな、ラーメンなんかも

 食べたらアカンで。」

 

いや、温かい物もアカンのかい!と

思いながら、

なんでですか?と聞くと、おっさんは

「ラーメンのギトギトの脂には

 水銀が入っているからな。」

と言い出した。

 

ラーメンもダメなんですね・・・と僕が言うと

おっさんは間髪を入れず、

「トンカツもアカンで!」

と言い放った。

僕が、

え!? トンカツも!?

やっぱり脂がダメなんですか?

と聞くと、おっさんは

驚愕の理由を語り出した。

 

「トンカツの脂自体は大丈夫なんや。

 ただ、千円を超えるトンカツには

 水銀が入ってるんや!」

 

いや、おっさん! 理屈が分からん!

ラーメンの脂がアカンのに、

トンカツの脂はええんかいな!

そんで、千円を超えるトンカツにだけ

なんで水銀が入ってるねん!

 

あまりの意味の分からなさに

僕が不思議な顔をしていると、

おっさんは、恐ろしい水銀から

逃れられる方法を教えてくれた。

 

「ネギは水銀の毒を中和するんや。

 だからラーメンには

 ネギが必ず入ってるやろ?

 あれは毒消しの意味やねん。そやから、

 千円を超えるトンカツを食べる時も、

 ネギを一緒に食べたら大丈夫や。」

 

その斬新な理論に心の底から驚いた僕は、

「じゃあ、冷たい飲み物を飲む時も、

 ネギと一緒なら大丈夫なんですか?」

と、おっさんに質問をしてみた。

するとおっさんは、さらに声をひそめて

こう言った。

 

「兄ちゃん、さすがに鋭いな!

 その通りなんや。

 だからあんなに

 タピオカが流行ってるんや。」

 

いや、おっさん! 全てが無茶苦茶や!!

タピオカってネギとちゃうし!

ネギに水銀を中和させる力はないし!

 

帰り道、久々に濃いおっさんと飲めた幸せで

ニコニコしながら帰った。

毎日、こんなんやったら幸せやなぁと思った。

そのためには、健康が大切なので、

毎日、ネギをたくさん食べて

水銀を中和させることが大切だと思った。

思ってない。

 

今回捕獲した酒モン

・迷走タイプ

・レア度・・・☆☆☆☆

 

どっちか分からんおっさん

今回は烏丸(京都市)で飲んでいて捕獲した

酒モン(酒を飲んでて捕獲したモンスター)

の話だ。

烏丸の辺りは、大通り沿いは

思いっきりビジネス街だが、

ちょっと裏道に入ると

古くからやっている居酒屋も多く、

なかなかパトロールのしがいがある街だ。

 

その日、僕は京都で嫌な仕事があり、

その嫌な仕事が終わると

思ってた通りの

嫌な気持ちになったので、

その嫌な気持ちを払拭するために

飲みに行くことにした。

何回、「嫌」って言うねん!

 

適当にうろちょろしながら店を探し、

大通りから2本ほど裏に入ったところに

焼鳥がメインのお店を見つけ、

その店に入った。

カウンターが8席くらいのその店は、

おばあちゃん一人でやっていて、

店内には常連さんと思しき

おっさんが飲んでいた。

僕は、カウンターの真ん中あたりに座り、

ビールと焼鳥数本を注文し、

付き出しの漬物で飲み始めた。

 

店内にいたおっさんは、

おそらく何十年もこの店に来ている感じで、

店主のおばあちゃんと

仲良く会話しながら飲んでいた。

僕もこの輪に入りたいなぁ、と

思っていたら、いい感じにおっさんが

話を僕に振ってきてくれた。

 

「お兄さんみたいに若い人が

    ここに来るの珍しいな。

    初めてやんな?」

 

おっさんの質問に、

はい、たまたま見つけて、

いい感じの店やったので、

入ってみました、と答えると

「ようこんな古い店に

    入ってきたな。」

と感心され、僕も話の輪に

入れてくれることになった。

 

飲みながら、店主も交えて

色んな話をしていたのだが、

しばらくするとおっさんは

「なぁ、パプリカかパブリカか

 ホンマはどっちなん?」

といきなり聞いてきた。

僕は、

え? パプリカとちゃいます?

と答えたが、あまり自信がなかったので

スマホで調べてみた。

すると、野菜はパプリカで、

パブリカは車の名前やった。

ちなみにパブリカという車名は

パブリック・カーの略で、

野菜のパプリカとは関係ないらしい。

おっ、このブログで初めて

タメになることを書いたぞ。

 

そこからおっさんの

「どっちなん?熱」に

火がついたみたいで、

この後の話は「どっちなん?」が

テーマになった。

いや、別にそんな熱はないねんけど。

 

最初は

「ビビンバかビビンパ

 どっちなん?」

「アボカドかアボガドか

 どっちなん?」

「シャベルかショベルか

 どっちなん?」

という、ちゃんとした

「どっちなん?話」を

していたのだが、

徐々にテーマがずれ始め、

 

カルボナーラかカボルナーラか

 どっちなん?」

という、

お前がちゃんと覚えてないだけやんけ!

というものから、

オーストリアか、

 オーストラリアかどっちなん?」

という、

どっちというより別のものや!

というものまで、話は散らかりまくった。

 

夜も更けてきたので、僕は帰ることにした。

勘定を済ませ、店主とおっさんに挨拶をし、

店を出る瞬間に

烏丸駅は右か左かどっちなん?」

と軽くボケてみた。

すると、おっさんは冷たく

「右や!」と言い放った。

 

おい! おっさん!

今まで散々、お前のどっちなん話に

付き合ってきたやろ!

こっちの渾身のボケを拾わんかい!

 

腹が立ったので、

おっさんの指示とは逆の左に行き、

河原町駅を目指した。

遠かった。

 

今回捕獲した酒モン

・迷走タイプ

・レア度・・・☆☆☆

 

 

 

申し訳ない気持ちにさせるおっさん

今回はJR吹田駅大阪府吹田市)で捕獲した

酒モン(酒を飲んでて捕獲したモンスター)

の話だ。

 

JR吹田駅も仕事でよく行く駅なのだが、

駅前には大きな商店街があり、

表通りから裏通りまで

様々な飲み屋が散在している、

探検しがいがある街だ。

散在って熟語の使い方、

これで合ってる?

 

そんな吹田駅の北側に古い商店街が

あるのだが、その商店街の並びにある、

僕が行くにしては小綺麗な居酒屋に

飛び込みで入ってみた。

店内もきちんと整頓された綺麗なお店で、

カウンター席が10席くらいと

テーブル席が2つあり、

店内には常連さんと思しき

おっさんが3人、飲んでいた。

 

僕はちゃんとした店では緊張する、という

特異体質なので、普段より遠慮がちに、

カウンターの端っこの方に座ろうとした。

すると、店のママさんらしき人が、

こっちに来たら?と言ってくれ、

常連さんたちのど真ん中で飲む事になった。

 

常連さん達は、隣同士で飲んだらいいのに、

全員が少し離れた席に座り、

大声でみんなで話しているという、

ノンソーシャルディスタンスを

絵に描いたような様相だった。

あ、ちなみにコロナ前の話ですよ。

あと、様相って熟語の使い方、

これで合ってる?

 

僕は、ビールと手羽先揚げを食べながら、

おっさん達の話を聞いていたのだが、

おっさんAの

「楽して儲かる話なんか無い!」

という発言から、

おっさんAとおっさんBの間で、

「そんなもんは無い」というテーマで

激論が始まった。

 

おっさんBが

「見た目はこってりしてるのに、

 食べたらあっさりしてる

 ラーメンなんか無い!」

と言うと、店内には

「う~ん・・・」という

微妙な空気が流れた。

それを受けておっさんAが

「夏涼しくて、冬は暖かい布団なんか無い!」

と言うと、そのあまりにも見事な例に

店内は「おおっ~!」と、どよめいた。

 

すると、おっさんAはなぜか、

おっさんCに

「はい、次!」

と急に話を振った。

おっさんCは急なことに

戸惑いながら、

「殺人していないのに死体遺棄はしない」

と、よう分からんことを言った。

おっさんAは

「まぁまぁやな。

 でも急に考えた割には良かったで!」

と満面の笑みで言った。

 

僕はみんなのやり取りを聞きながら、

常連さん同士が仲良しな、

いい飲み屋さんやなぁと

思いながら、飲んでいた。

するとおっさんAは、急に僕に

「じゃあ、次、兄ちゃん!」

と話を振ってきた。

僕は、頭をフル回転させ、

何とか思い付いた

「軽いのに丈夫な物はない!」

というのを言おうと思ったのだが、

あまりの急な出来事に慌てて

「軽いのに重い物は無い!」

と言ってしまった。

 

店内は一瞬、シーンとなった。

おっさんAは

「軽いのに重い物って・・・。

 兄ちゃんには期待してたのに、

 ガッカリやわ。」

と本当に悲しそうな顔で言った。

僕は、おっさんの

期待に応えられなかったことが

申し訳なくなり、

なんかスイマセン、と謝った。

おっさんAは

「残念や・・・」

と本当に凹んだ様子で、

おっさんBは

「仕方ないやんか。

 兄ちゃんもまだ若いねんし。」

と、おっさんAを慰めていた。

 

僕は申し訳ない気持ちでいっぱいで、

うなだれて店を出たのだが、

帰りの電車の中で急に我に返り、

あんな急に話を振ってきたら、

そら、うまいこと答えられへんやろ!

なんで俺がこんな申し訳ない気持ちに

ならなアカンねん!

おっさん死ね!

と心の中で叫んだ。

 

今回捕獲した酒モン

・高揚タイプ

・レア度・・・☆☆

ソーシャルディスタンスのおっさん

今回は、庄内(大阪府豊中市)で捕獲した

酒モン(酒を飲んでて捕獲したモンスター)

の話だ。

 

庄内駅阪急宝塚線にあり、

梅田駅からも10分くらいで行ける下町で、

濃い店も多く、その街の雰囲気や

梅田からの距離感から

宝塚線の淡路」と呼ばれている街だ。

いや、世界中で僕しか言うてへんけど。

 

住民以外はあまり降りないであろう

この駅だが、昔、同じ阪急宝塚線

石橋駅周辺を重点パトロール地域と

していた時に、昼から石橋で飲んだ後、

「帰りは梅田まで歩いたろかしらん」

と、酔っ払いならではの

とんでもないことを思い立ち、

歩いて帰る途中に寄ったのがきっかけで、

飲みに来るようになった。

 

そんな庄内には

アーケードの商店街があるのだが、

その端っこにある食堂で飲んでいる時の話だ。

その食堂は、見た目は完全に

「ザ・食堂」という感じで、

メニューも「〇〇定食」といったものが

非常に豊富なのだが、

夕方以降は完全に居酒屋化しており、

ほぼ全員が「〇〇を単品で!」と、

定食のおかずをつまみに

飲んでいるようなお店だった。

 

その日、僕はその食堂のカウンター席で

カツ玉をつまみに飲んでいた。

隣では作業着姿のおっさんが

とん平焼きをつまみに瓶ビールを飲んでいた。

瓶ビールがなくなると、おっさんは

チューハイレモンと肉・ピーマン炒めを

追加で注文した。

ほどなくして、

チューハイと肉・ピーマン炒めが

運ばれてきたのだが、おっさんは皿の上で

肉とピーマンを分け始めた。

そのおっさんとは、

全く話はしていなかったのだが、

あまりにもその行動が気になったので

皿の上で完全に肉とピーマンが分けられた頃、

僕は話し掛けてみた。

 

それ、なにやってるんですか?

僕の質問におっさんは、

「え!? あぁ、俺、

 肉とピーマンを炒めたやつが嫌いやねん」

 

僕は、先ほど、

「肉・ピーマン炒め、単品で!」と、

意気揚々と注文していたのと

同じ口が言ったとは思えない発言に驚き、

そこそこ大きい声で

え!?

と言ってしまった。

 

疑問を浮かべたままの僕の顔を見ながら

おっさんはさら続ける。

 

「肉とピーマンを炒めたやつは

 嫌いやねんけど、肉の炒め物と、

 ピーマンの炒め物は大好きやねん。

 だから、この店では

 いつも肉・ピーマン炒めを頼んで、

 分けて食べることにしてるねん。」

 

いや、おっさん!

そんな人間、初めて見たぞ!

同じ味で、一緒に炒めてるんやから

一緒やろ!

 

そう思ったが、おっさんに言えるはずもなく、

へぇ~、そうなんですか、と答えた僕に、

おっさんは追い打ちをかけた。

 

「肉とピーマンの

 ソーシャルディスタンスや!」

 

いや、おっさん!

今、おっさんが分けただけで、

さっきまで同じフライパンの中で

肉とピーマンは超密やってん!

 

その後、僕も肉とピーマン炒めを頼んだが、

普通に美味しかった。

あ、もちろん分けずに一緒に食べました。

 

今回捕獲した酒モン

・迷走タイプ

・レア度・・・☆☆☆