酒モン ゲットだぜ!!

  酒を飲んでいて遭遇・捕獲した酔っぱらいのモンスター達、略して「酒モン」について綴っていくブログ

酒を飲んでいて遭遇したモンスター達について綴っていくブログです。 長編・短編・色々とございます。

太麺のおっさん

気付いたら、今年初めての更新です。

コロナのせいで、ホンマに変なおっさんと

出会う機会が減り、死活問題です。

まぁ、変なおっさんと出会わなくても、

死ぬことはないねんけど。

 

今回は、最近の重点パトロール区域である

北加賀屋大阪市住之江区)で捕獲した

酒モン(酒を飲んでて捕獲したモンスター)

の話だ。

 

北加賀屋は、大正時代には造船の街として、

かなり栄えた街で、今でも大きな商店街が

あり、その周辺にはたくさんの飲み屋がある。

一昨年に、仕事でたまたま通りかかり、

あまりの街の雰囲気の良さに

「近々、絶対に住む!」と決めている

街である。

 

その日、僕は何もかも上手くいかない自分に

嫌気がさして、最近のお気に入りの街である

北加賀屋に飲みに行くことにした。

 

17時くらいに地下鉄の北加賀屋駅に着き、

前から目をつけていた、

暖簾や壁が煙で黒くなっている、

ええ感じの焼鳥屋さんに向かった。

店内に入ると、まだ普通の人なら働いている

時間なので、店主と客のおっさんの2人しか

いなかった。

僕は、おっさんの二つ隣の席に座り、

生ビールと数本の焼鳥で飲み始めた。

 

しばらくすると、おっさんが

「今日は休みなん?」

と聞いてきた。

僕が、

「仕事ですけど、色々と嫌になったので、

 早めに切り上げて飲みに来ました」

と正直に答えると、おっさんは

「若いうちはそれでええねん」

と笑顔で返してきた。

よう考えたら、若いうちこそ、

嫌なことも努力して乗り越えないと

アカンような気がするのだが、

僕がおっさんの言葉を否定するのも

おかしいので、

「そうですよね〜」

と、同調しておいた。

こんな気のいいおっさんだったが、

やはり酒が進むと、酒モンへと変貌した。

 

一時間ほど、たまに話をしながら

飲んでいたのだが、突然、おっさんが、

「向こうのバスが通る道にあるラーメン屋に

 行ったことある?」

と聞いてきた。

僕が

「いや、ないです。美味しいんですか?」

と聞くと、おっさんは

「あそこの細麺、太いねん!」

と、コペルニクス的発想の発言をした。

いや、全く、コペルニクス的やないねんけど。

 

僕が驚いて、

「どういうことですか?」

と聞くと、おっさんは詳細な説明を始めた。

 

「あのラーメン屋な、おかしいねん。

 細麺は思ってるより太いしな、

 太麺は思ってるより細いねん。」 

 

いや、おっさん!

それは、お前の「思ってるより」の

基準がおかしいんとちゃうんか!

 

僕はそう思ったが、

「そうなんですか」

と、おとなしくおっさんの話を聞いていた。

おっさんはさらに興奮して、

「細麺の太さが太過ぎやし、

 太麺の細さが細過ぎやし、

 細麺が太麺で、太麺が細麺みたいに

 感じるんや!」

と、訳の分からないことをまくしたてた。

 

僕は、

「細麺の太さが太過ぎ」

「太麺の細さが細過ぎ」

という言葉の意味が

頭にスッと入ってこなくて

戸惑っていたのだが、

その気持ちを代弁するように、

これまで寡黙に焼鳥を焼いていた店主が、

「頭がおかしくなりそうやから、

 訳の分からんことを言わんといて!」

と、少し怒り気味で注意した。

 

その後、僕はおっさんにラーメン屋の場所を

詳しく聞いて、食べに行ってみた。

醤油ラーメンを注文し、

「麺の太さは選べるんですか?」

と聞いたのだが、

「うちは、麺は一種類です」

と淡々と言われた。

「あれ? 前は選べませんでしたっけ?」

と白々しく聞いたのだが、

「いや、ずっと一種類です」

と冷たく言われた。

 

おい! おっさん!

さっきのはどこの店の話やねん!

 

今回捕獲した酒モン

・高揚タイプ

・レア度・・・☆☆☆