今回も短編です。
酒モン（酒を飲んでて捕獲したモンスター）
の話だ。
その日、僕は吹田で打ち合わせがあり、
吹田の街にやって来た。
そらそうや。
だって、吹田で打ち合わせがあるんやから。
そんな文字数稼ぎはいいとして、
打ち合わせが思いの外、ヒートアップし、
ストレスが溜まった僕は、
1人で飲みに行くことにした。
いや、別に何もなくても飲みに行くんやけど。
そんなこんなで、
いつも行く焼鳥屋に行ったのだが、
見事に休みだった。
ただ、もう「焼鳥を食べる口」に
なっていた僕は、
付近で焼鳥屋を探し、たまたま見つけた
路地裏の店に入ることにした。
カウンターが8席くらい、
奥に座敷があるそのお店は、
ザ・常連という風情のおっさんが３人、
グダグダになって飲んでいた。
おっさんはそれぞれが
距離を開けて飲んでいて、
知り合い同士という感じではなかった。
僕は、手前側に座っていた
おっさんAとおっさんBの間に座った。
おっさんに挟まれ、
これがオセロやったら
僕もおっさんに変わるな、
と思ったのだが、よく考えたら
僕も元々おっさんだった。
今回、文字数稼ぎがひどいな！
それはいいとして、
僕は生ビールと焼鳥数本で飲み始めた。
しばらくすると、カウンターの奥の席で
飲んでいたおっさんCが
店長さんと思しき人と話しだした。
「先週、親父が亡くなってん。
もう80代の後半やから、
亡くなったこと自体は
仕方ないねんけど、
遺品整理とか大変やわ。」
おっさんはなかなか身に詰まされることを
言い出した。
「でもな、親父の遺品を整理してて、
ビックリしたんや。冷蔵庫を開けたら、
中から何が出てきたと思う？」
このフリに、僕も左右の
おっさんAとおっさんBも耳をそばだてた。
そして、おっさんCはこう言った。
「エロ本が20年分出てきたんや。」
その瞬間、
おっさんAは、
「エロ本かい！」
おっさんBは、
「どこに隠してるねん！」
僕は、
「年って単位がおかしいやろ！」
と、三者三様にツッコんだ。
おっさんCは、おっさん３人から
同時多発的にツッコまれたことなど
意に介さず、話を続けた。
「まさかオヤジが
エロ本を冷やしてたなんて
思ってなかったから、
ショックやったわ・・・。」
いや、おっさん！
お父さんはエロ本を「隠して」ただけで、
「冷やして」はないと思うぞ！
いや、もしかしたら僕が知らんだけで、
エロ本を冷やしたら
何かいいことがあるのかもしれんけど。
今回捕獲した酒モン
・悲哀タイプ
・レア度・・・☆☆☆
