酒モン ゲットだぜ!!

  酒を飲んでいて遭遇・捕獲した酔っぱらいのモンスター達、略して「酒モン」について綴っていくブログ

酒を飲んでいて遭遇したモンスター達について綴っていくブログです。 長編・短編・色々とございます。

名言のおばはん

今回は超短編な上に、全く面白くないのだが、

酒モン(酒を飲んでて捕獲したモンスター)を

語る上で、この酒モンに

触れないわけにはいかないので、

書かせていただくことにした。

 

その日、僕は東京での仕事を終え、

菊川駅(東京都墨田区)に降り立った。

この辺りはいい感じの飲み屋が多く、

東京出張の際には、

赤羽の次によく泊まる街でもあった。

 

僕は、前から気になっていた

とある居酒屋に入った。

カウンターだけの、かなり狭いその店は

常連さんで満員で、

かろうじて空いていた、

一番奥の、トイレの扉の前の席に

座ることが出来た。

 

僕は生ビールと数本の焼トンで

飲み始めたのだが、

入口近くで飲んでいたおばはんが、

かなり酔っ払っていて、

ノリノリで大声で喋っていた。

しばらくした後、そのおばはんが

「トイレ!」と言って、

いきなり立ち上がった。

おばはんは、完全に出来上がっていて

よろけた足取りでこちらに向かってきた。

カウンター席と壁の間が狭いので、

おばはんはカニ歩きのような感じで

席に座っている人に何度もぶつかりながら、

こちらに近付いてきた。

そして、僕の後ろを通り抜ける時、

おばはんはまたよろけて、

僕の両肩に手を置いた。

そして、振り返った僕の顔を見たおばはんは、

これまで僕が飲み屋で聞いたセリフの中で

一番の名言を吐いたのだ。

 

「お兄さん、酒ってなんでこんなに

 美味いんだろうね。」

 

この言葉を耳元で聞いた時、

なんかしらんけど、感動して、

ちょっとジーンとした。

 

その後、トイレから出たおばはんは、

自分の席に戻り、再スタートを切り、

その後もしこたま飲んでいた。

 

結局、僕の方が先に店を出ることになり、

お愛想を済ませて、店を出る時に

今度は僕がおばはんの後を通る形になった。

僕はおばはんに感謝を伝えたくなり、

さっきはありがとうございました、

メッチャいい言葉を聞けました、

と言った。

するとおばはんは、トロンとした目で

「え? 私、お兄さんになんか言った?」

と答えた。

 

覚えてないんかい!

こっちはちょっと感動しとるねん!

 

 

今回捕獲した酒モン

・高揚タイプ

・レア度・・・☆☆☆☆