捕獲した酒モンの話だ。
地方の県庁所在地くらいの人口があり、
JRと阪急の駅付近を中心に
飲み屋もかなりたくさんあるのだが、
まだまだ僕自身の飲みパトロールの量が
足らない地域である。
いや、別に誰にもそんなパトロールは
頼まれてないし、
無理に飲みに行かんでもええねんけど。
その日、僕は京都での仕事の帰りに、
阪急茨木市駅で降り立った。
久しぶりに茨木で
２〜３軒飲んだろかしらん、と思い、
駅周りをうろちょろしていたら、
一軒のお店を見つけた。
そこそこ綺麗な洋風の店構えで、
外に出ていたメニューの中身も
オシャレな感じなのだが、
何かピンとくるものがあったので、
店に入ってみた。
すると、店の外観とは裏腹に、
夫婦と思しきおっさんとおばはんが２人、
グダグダに酔っ払って、
マスターと話をしていた。
よし、これはいける！
と確信した僕は、おっさんの隣の席に座り、
ビールを飲み始めた。
そして、おっさん達の話に耳を傾けていると、
どうやらペットの話をしているようだった。
しばらくして、おっさんは僕の方にも
「何かペット飼ってる？」
と話を振ってきてくれたので、
マスターも交えて
４人でペットの話をすることになった。
おっさんは若い頃からずっと犬を飼っていて、
今も雑種の犬を飼っているそうだ。
おっさんは、
「犬は可愛いで。俺が仕事から帰ってくる時、
バイクの音で分かるみたいでな。
門のとこまで来て、待っててくれるんや。」
と、割とよく聞く話ではあるが、
心温まるエピソードを披露した。
おっさんの愛犬トークはまだまだ続く。
「この前な、帰宅したら、
犬の前足がえらい腫れてたんや。
蛇に噛まれたらしくて、
かわいそうやった。」
おっさんは悲しげに言った。
「そのちょっと前にもな、
足がえらい腫れててな。
その時はハチに刺されたみたいやねん。
痛そうにしとったわ。」
おっさんは犬への愛に溢れた顔で言った。
僕が、
そうなんですか、かわいそうに。
でも、蛇に噛まれたのと、
ハチに刺されたのとの違いが
分かるんですね。
傷口が違うんですか？
と聞くと、おっさんは
「いや、知らん。
傷口なんか全く見てないし。」
と普通に答えた。
え？ ほんならなんで、
蛇とかハチとか分かったんですか？
と僕が聞くと、おっさんは、
驚きの返答をした。
「いや、犬がそんな顔しとったから。
あと、鳴き方もそんな感じやってん。」
いや、おっさん！
そんな顔って、どんな顔やねん！
蛇に噛まれた時の犬の顔と
ハチに刺された時の犬の顔って
どう違うねん！
あと、鳴き方もそんな感じって！
絶対に一緒やし！
全部がおっさんの目分量やん！
まぁ、僕は犬を飼ったことがないので、
もしかしたら、飼っていたら
分かるのかもしれませんけどね・・・。
今回捕獲した酒モン
・迷走タイプ
・レア度・・・☆☆☆
