今回は広島で飲んでて捕獲した
酒モン（酒を飲んでて捕獲したモンスター）
の話だ。
その日、僕は広島市内で仕事があり、
一泊することになっていた。
久しぶりに広島で飲めるので、
かなりテンションが上がっていた僕は
仕事が終わるや否や、
路面電車で20分くらいかけて移動し、
繁華街からかなり離れた街で飲みはじめた。
一軒目の店で、
ホルモンの天ぷらをつまみに
ええ感じに酔っぱらった僕は、
缶ビール片手に歩いて帰ることにした。
フラフラと裏道ばかりを選んで
歩いていたのだが、しばらく歩いた頃、
何とも言えない店構えの店を見つけた。
店構えの店って、なんか変やけど
他に言い方がないねんもん。
表に小さな赤い提灯が
いくつか吊り下げられているその店は,
外にメニューも置いてなく、
店内の様子も全くうかがえず、
明らかに常連しか入れない雰囲気だった。
よし、この店に入ろう、と思ったのだが、
僕は飲み終えたビールの缶を持っていた。
どこか捨てるところがないかな？と
周りを見たが、近くにゴミ箱もなかったので、
僕は缶ビールを持ったまま
居酒屋の店内に入るという大胆な行動に出た。
店内に入ると、お客さんは誰もおらず、
店主一人がカウンターの向こうに立っていた。
店主は、僕の手に握られた缶ビールを見て
「えらいもんを持って入って来よるな！」
と大笑いしてくれた。
いい感じに店主と打ち解けた僕は、
生ビールを頼み、店の名物だという
おでんをつまみに飲み始めた。
このおでんのスジがめちゃくちゃ美味しく、
スジのおかわりを何度もしたのだが、
三度目のおかわりの時に、
おっさんが店内に入ってきた。
白髪頭のそのおっさんは、
人間ってこんなに笑えるのか？というくらいに
表情が緩んでニコニコしていて、
酔っているというレベルを超え、
完全に酩酊していた。
おっさんは僕の近くに座り、
燗の日本酒を注文した。
しばらくして、日本酒を運んできた店主が
「おでんでもどうですか？」
とおっさんに聞いたのだが、
おっさんは意味不明の返答をした。
「さっきの店で結構食べてきたから、
そんなにたくさんはいらんかなぁ。
とりあえず、厚揚げの
なるべく薄いところをもらおうかな。」
いや、おっさん！
厚揚げの薄いところってどこやねん！
厚いから厚揚げやねん！
店主も困り顔で
「厚さはどれも一緒ですけどね・・・。」
と返答し、適当に選んだ厚揚げを
おっさんに出していた。
おっさんは、厚揚げで日本酒を飲みつつ、
メニューを見ていたのだが、
いきなり、店主に信じられない質問をした。
「この、じゃいがも、って
鴨肉のつくねのこと？」
おっさんの質問に対し、店主は即座に
「いや、じゃがいもですよ！」
と返答した。
店主に秒速で訂正されたおっさんは、
「あ、そうか・・・。
じゃいがもは、普通は
おでんに入れないもんな。」
と独り言を言っていた。
いや、おっさん！
おでんに入れるとか入れへんとかの
問題とちゃうねん！
「じゃいがも」っていう日本語がないねん！
そもそも、なんで「鴨肉のつくね」 やと
思ったんや！？
結局、この後、このおっさんと
1時間半くらい飲んだ。
いい具合に打ち解けた後、
「じゃいがも」のことを聞いてみた。
おっさんは、「じゃいがも」を
「ジャイアントな鴨肉のつくね」の略だと
思ったそうだ。
おっさん、その解釈はちょっと無理があるぞ！
今回捕獲した酒モン
・高揚タイプ
・レア度・・・☆☆☆
