酒モン ゲットだぜ!!

  酒を飲んでいて遭遇・捕獲した酔っぱらいのモンスター達、略して「酒モン」について綴っていくブログ

酒を飲んでいて遭遇したモンスター達について綴っていくブログです。 長編・短編・色々とございます。

結婚祝いをするおっさんたち

今回が今年最後の更新となります。

晦日なので当たり前ですけど。

一年間、「酒モン ゲットだぜ!!」を

ご愛読いただき、ありがとうございました。

 

昨年の年末最後の更新は、僕自身が

酒モン(酒を飲んでて捕獲したモンスター)に

なった時の話だったのですが、

今年最後の更新は、僕が酒モンたちに

がっつり巻き込まれた話にします。

 

その日、僕は打ち合わせで、

ある女性の方と会うことになっていた。

その女性は僕よりも少し年下で、

グルメや美容関係の書籍の仕事を

している人だった。

夕方からの打ち合わせだったのと、

その女性も酒好きだったので、

自然と「せっかくなので飲みながら」

という話になった。

店はどこにします?と聞くと、向こうが、

僕がいつも酒モンのブログで書いているような

濃い店に行きたい、と言ったので、

即決で淡路(大阪市東淀川区)で

飲むことになった。

 

18時に阪急淡路駅で待ち合わせをしたが、

とりあえずは打ち合わせがあるので、

1軒目は普通のお店に行き、

軽く飲みながら、

ちゃんとした打ち合わせと

諸々の情報交換をした。

そして、用件もほぼ済んだので、

2軒目に行くことになったのだが、

僕は、徐々に濃い店の洗礼を

浴びせてやろうと思い、

メインの超濃い店は3軒目に回して、

2軒目はとりあえず「中濃」くらいの店に

行くことにした。

 

その居酒屋は、右側にカウンター席、

左側に4人掛けのテーブル席が3つある、

そこそこ大きな店で、

ママの手料理が美味しい上に

常連さんもほどよい濃さで

「THE 2軒目」という風情の店だった。

いや、別にそんな風情はないけど。

 

ともかく、その店に入り、

テーブル席に腰掛け、

生ビール2つとつまみを二品頼み、

仕切り直しで飲みだした。

仕事の話はほぼ終えているので、

堅い話をするわけでもなく、

とりとめのない話をしていたのだが、

カウンターで飲んでいたおっさんが

トイレに行く途中に、

女性が傍に置いていた

小さな紙製のバッグに気付いた。

実はその女性、僕に会う前に

シャンプーのメーカーに取材に行っており、

紙製バッグにはその時にもらったサンプルの

シャンプーが入っていたのだが、

お洒落な柄で小さな紙製バッグを見た

おっさんがどえらい勘違いをした。

 

「お姉さん、それ、指輪とちゃうん?」

そう言うおっさんに、女性は

「違いますよ」

と答えたのだが、

おっさんは聞く耳を持たず、

「絶対に指輪やん、それ。

    え!?  もしかして、今日、

    プロポーズされたん!?」

と色めき立った。

女性は

「いえいえ、違いますよ!」

と少し語気を強めに否定したのだが、

おっさんは店中に響く大声で、

「おーい!  このお姉さん、

    今日、この兄ちゃんに

    プロポーズされたんやて!」

と店内の人達に知らせた。

 

「えーっ!」

と、湧き上がる店内。

おっさんはさらに続ける。

「しかも、OKしたらしいで!

    指輪ももらったんやて!」

 

「おおーっ!」

さらに湧き上がる店内。

そして、店内にいた人が一斉に立ち上がり、

口々に「おめでとう!」と拍手をしてくれた。

やがて、みんなが僕らのテーブルに集まり、

ビールを注いでくれたり、

僕らのために料理を注文して

持ってきてくれたりした。

みんなから

「お幸せに!」「ずっと仲良くね!」とか

言ってもらい、

これはえらいことに巻き込まれたな、と

思ったのだが、

淡路が初体験のこの女性に

「淡路の一番良いところ」を

見せられたので、すごく嬉しかった。

 

みんなからのお祝いも一段落して、

僕たちは店を出ることにしたのだが、

お勘定が終わり、僕らが店の外に出た時、

店内にいた人たちも外に出てきてくれて、

「おめでとう!」

ともう一度、全員で祝福してくれた。

 

僕たちはそんな素晴らしい店に別れを告げ、

歩き出した。

いい感じのハプニングが起こり、

さぞ、この女性も面白がってるだろうと思い、

面白かったですね、と言ったのだが、

女性は

「ええ、まぁ。」

と冷たく言い、駅に向かって歩き出した。

僕はもう一軒行きますか?

と聞いたのだが、

「いえ、いいです。

   淡路がどんな街かは

   もうよく分かりましたので。」

と女性はムッとした感じで言った。

 

えーっ、めっちゃ怒ってるやん、

なんで?  面白かったやん?と思いながら、

とりあえず女性を駅まで送った。

どう考えても一人で

飲み直したい気分やったので、

僕はまた飲み屋街に戻った。

そして、さっきの店の前を通りかかった時に、

ガラス戸越しに店内をのぞいてみたのだが、

みんな、すごくニコニコしながら飲んでいた。

僕は、あの女性は怒ってしまったけど、

淡路のみんなが幸せな気分になれたんやし、

まぁええか、と思い、

淡路で一番濃い店に向かった。

 

え?  何、このちょっといい終わり方。

結局、あのおっさんの勘違いのせいで、

書籍の仕事ももらってないし、最悪やで!

あの時の居酒屋の客、全員死ね!

 

ということで、来年も

「酒モン  ゲットだぜ!!」を

よろしくお願いいたします!

 

 

 今回捕獲した酒モン達

・高揚タイプ

・レア度・・・☆☆☆☆