酒モン ゲットだぜ!!

  酒を飲んでいて遭遇・捕獲した酔っぱらいのモンスター達、略して「酒モン」について綴っていくブログ

酒を飲んでいて遭遇したモンスター達について綴っていくブログです。 長編・短編・色々とございます。

見る目がないおっさん

多分、魚市場で働いてる人や

漁師さんがたくさんいて、

その人達は昼前に仕事が終わるからだと

思うのだが、明石には

昼前から飲める店が結構ある。

そんな港町にも

酒モン(酒を飲んでて捕獲したモンスター)

が出現した。

 

その日も、月に2・3回ある

“ 何もかもが嫌になる日 ” が来て、

昼から飲もうと明石の街にやって来た。

駅を出た時に、

そういえば、現金があまりなかったと思い、

駅前にある某銀行のATMに行った。

そこには、おそらく80歳くらいの

お婆さんがいて、ATMの前に立っていた。

お婆さんが立っていた隣のATMで

お金を引き出し、出て行こうとした時、

おばあさんが話し掛けてきた。

「これ、どうするのか分かる?」

お婆さんはATMの操作方法が

分からないみたいだった。

話を聞くと、ATMに付いている電話で

銀行の人と色々とやり取りしたみたいだが、

それでも使い方が分からず、窓口があるお店に

来てくれと言われたそうだ。

「すぐにお金がいるから、

    今、引き出したいねん。

 お兄ちゃん、ちょっと、やってくれへん?」

いくら頼まれたとはいえ、

人のカードと暗証番号で

お金を引き出すのは、さすがにマズいので、

やんわりと断ったのだが、

おばあさんは何度も頼んでくる。

仕方なく、暗証番号を打つところは

おばあさんにやってもらうということにして、

ATMを操作してあげた。

無事にお金を引き出せたお婆さんは、

何度も何度もお礼を言ってくれた。

「お兄ちゃん、このまま別れるのも

    名残惜しいから、ご飯でも行かない?」

そう言われたので、僕は

今から飲みに行くつもりだったので

それなら一緒に行きませんか?と誘ってみた。

「じゃあ、そうしましょう!」

お婆さんはすごく喜んでくれて、

二人で海の近くにある食堂に行った。

昼なのに、メシのおかずで一杯やっている

おっさんたちで食堂はそこそこ満員だったが、

運良くテーブル席に座ることができた。

「さっきのお礼におごるから、

 なんでも好きなもの頼んでね」

お婆さんに言われて、僕は瓶ビールと刺身、

タコの天ぷらを頼み、

お婆さんはうどんを頼んだ。

グラスを二つもらって、お婆さんと乾杯し、

飲み始めた。

お婆さんからは亡くなった旦那さんの話や

名古屋で働いている息子さんの話を聞き、

僕はお婆さんに聞かれるままに

仕事の話や親の話をした。

一時間くらい過ぎた頃、

隣の席で、焼き魚を肴に飲んでいた、

いい感じで出来上がっているおっさんが、

こう聞いてきた。

 

「お二人、ご夫婦ですか?」

 

違うわ!

さすがに年が離れすぎやろ!

ずっと “ お母さん ” って呼んでたやないか!

おっさん、酔ってるとはいえ、

見る目なさ過ぎやろ!!

 

でも、お婆さんの口座の残高を

チラッと見てしまっていた僕は、

結婚してもいいかも、と思った。

あとで絶対に、名古屋で働いてる息子さんと

相続のことで揉めるけど。

 

 

今回捕獲した酒モン

・誤解タイプ

・レア度・・・☆