酒モン ゲットだぜ!!

  酒を飲んでいて遭遇・捕獲した酔っぱらいのモンスター達、略して「酒モン」について綴っていくブログ

酒を飲んでいて遭遇したモンスター達について綴っていくブログです。 長編・短編・色々とございます。

味音痴のおっさん

今回は昔住んでた

九条(大阪市西区)で捕獲した

酒モン(酒を飲んでて捕獲したモンスター)

の話だ。

 

家の近所にあったその焼鳥屋さんは、

安くて美味しいので、

いつも大勢のお客さんで賑わっていた。

メニューには焼鳥などの焼き物以外に、

「鳥鍋」というのがあったが、

頼んだ人を見たことがなかったし、

僕も食べたことはなかった。

古くからの常連さんの中には

「昔、何度か鳥鍋を頼んだが、

 その度にマスターから “ 今日はない ” と

    言われた。

    あのメニューは書いてあるだけで、

 実際にはないと思う」

という人さえいた。

 

ある日、仕事帰りにその焼鳥屋さんに行くと、

初めて見るおっさんが焼鳥で、

日本酒の熱燗を飲んでいた。

おっさんは、結構なペースで日本酒を飲み、

みるみる酔っ払っていった。

そして、この店の鳥鍋が実は幻であることを

知らない一見さんのおっさんは、

なんと、禁断の鳥鍋を注文した。

マスターは、おっさんからの注文に

一瞬たじろいだように見えたが、低い声で、

「はい」

と言って、何かを作り出した。

 

え? 鳥鍋ってあるん?

 

店内に微妙な空気が流れる。

しばらくして、小さな土鍋に入った、

前人未踏の鳥鍋が運ばれてきた。

おっさんは、その未だかつて

誰も見たことがない

その鳥鍋を食べるや否や、

「これ、めちゃくちゃ美味い!」と

大声で言った。

そして、

「みんな、これ食べてみ!

    めっちゃ美味いから!」

と他のお客さんに薦めだした。

店内の常連客はみんな、おっさんから、

初見の鳥鍋を分けてもらった。

もちろん僕もお相伴に預かったのだが、

醤油ベースの鍋で、

鶏肉と白菜・ネギなどの野菜が入っている。

食べてみたが、正直なところ、

そこまでびっくりするほど

美味しくはなかった。

しかし、おっさんが

「な?  美味しいやろ?  な?」

としつこく聞いてくるので、

とりあえず、そうですね、と答えておいた。

おっさんは店の主人に、

「これ、すごい美味いわ! 

    一体、何で出汁をとってるん?

    かつおダシは入ってるやんな?

    あとは鶏ガラスープか?」

とハイテンションで聞いた。

すると、主人は恥ずかしそうに、

「え〜っと、醤油と味の素です・・・」

と答えた。

 

ほら!

そんなに美味くないと思った!

おっさん、味音痴にもほどがあるぞ!

そして、マスター!

急に鳥鍋を注文されて、

どうしても作らなアカンかったんやろけど、

醤油と味の素って、適当に作り過ぎや!

 

数日後、家で、

醤油と味の素だけで鍋を作ってみた。

そこそこ美味かった。

あれ?

 

今回捕獲した酒モン

・高揚タイプ

・レア度・・・☆☆