酒モン(酒を飲んでて捕獲したモンスター)
の話である。
JR姫路駅の北側は、
地方の県庁所在地なんかよりも
はるかに大きな商店街が広がっていて、
地元の人や姫路城を訪れる観光客の人で
いつも賑わっている。
そして昼から飲めるお店も結構あり、
早い時間から飲んで
グダグダになっている人も多い、
楽しい街だ。
その日、僕は何もかもが嫌になり、
15時過ぎに大阪を出て、
約1時間掛けて姫路の街にやって来た。
そして、駅から徒歩5分くらいの、
商店街の中にあるお店で飲むことにした。
串カツをメインに色んなメニューがある
そのお店は、普通の人なら
まだ仕事をしている時間にも関わらず、
おっさん達で混雑していた。
僕は店内に入り、ビールと串カツを頼み、
飲み始めた。
その日は寒い日だったのだが、
店内はエアコンがよく効いていて、
むしろ暑いくらいだった。
しばらくして、頭にタオルを巻き、
ビールを飲んでいたおっさんが
「えらい、暑いな」と言い出し、
エアコンのリモコンを手に取った。
「あれ? 23℃になってる。
そやのにこんなに暑いんか!?」
タオルのおっさんは驚く。
たしかに23℃の設定とは思えないほど、
室内は暑かったが、おそらく、
串カツを揚げたり、料理を作ったり、
ひっきりなしに火を使っているから、
23℃の設定でも室内は充分に温まるのだろう。
だが、この温度設定の件で、
なぜか店内が異常に盛り上がり始めた。
向こうの席から、
「え? 23℃でこの暖かさ?
うちなんか、25℃にしてても寒いのに」
と声がする。
別のテーブルからは、
「え!? うちなんかいつも26℃ですよ」
と声がする。
すると、タオルのおっさんは、
「はい、26℃、26℃以上はおらんか?」
と、まるで魚市場のセリのように仕切りだす。
「うちは木造で、すきま風がひどいから、
設定はいつも28℃!」
「はい、28℃、28℃が出ました!」
「うちは家に帰ってすぐの時はたまに30℃!」
「30℃が出た。30℃、もうないか?」
「うーん、ない。」
「それ以上はないわ~。」
「はい! 30℃!
30℃の兄ちゃんに決定!」
店内は築地市場の様になっていた。
これ何のノリ?
今回捕獲した酒モン
・高揚タイプ
・レア度・・・☆☆☆☆