酒モン ゲットだぜ!!

  酒を飲んでいて遭遇・捕獲した酔っぱらいのモンスター達、略して「酒モン」について綴っていくブログ

酒を飲んでいて遭遇したモンスター達について綴っていくブログです。 長編・短編・色々とございます。

逆のおっさん

今回は野田(大阪市福島区)で遭遇した

酒モン(酒を飲んでて捕獲したモンスター)の

話だ。

 

野田は、阪神電車大阪市営地下鉄

JR東西線の駅があるターミナル駅なのだが、

全く都会な感じはせず、

古くから営業している居酒屋さんも多いし、

石畳の道もあったりする、

すごく下町な感じのいい街だ。

実は僕も、短い期間だが、

野田に住んでいたことがある。

ちなみに、阪神の駅が「野田駅」で、

地下鉄の駅が「野田阪神駅」で、

JRの駅が「海老江駅」なので、

知らない人にはかなりややこしい。

なぜこんなに長々と

前置きを書いているかというと、

今回は短編だからだ。

 

その日、僕は野田の裏通りにある

小さな居酒屋で飲んでいた。

早い時間帯だったので、

はじめは客もまばらだったのだが、

やがて、店内が混み始め、

気付いた時にはほぼ満席になっていた。

そうこうしているうちに、

50代くらいの隣のおっさんが話し掛けてきた。

おっさんは僕が食べていた

タコぶつとハムカツとポテトサラダを指差し、

「ぎょうさん食べるんやな。

    わしなんか、最近は、

    飲む時はそんなに食べられへんねん。」

と言ってきた。たしかにおっさんの前には

生ビールとキムチしか置いてなかったので、

キムチだけでいいんですか、と聞くと、

おっさんは嬉しそうに

「そやねん。つまみはキムチだけでええねん。

    ビールがあったら、キムチが進むからな。」

と言った。

 

おっさん、逆や!

キムチがあったらビールが進む、やろ!

 

そう思った僕は、

逆ですやん!  キムチがあったら、

ビールが進む、でしょ!

と笑顔でツッコんだのだが、

これがおっさんの地雷だったようで、

「違う!  逆やない!

   ビールがあったら、キムチが進むんや!」

と怒り心頭で、ビールを少し飲んでは、

キムチを大量に頬張ることを繰り返した。

 

素直に間違いを認めたらいいのに、

子供みたいやな、と思ったが、

無粋にツッコんだ僕も悪かったし、

おっさんがキムチの食い過ぎで

死んでも困るので、

分かりました、そうなんですね、と

言うと、おっさんのキムチ爆食いは止まった。

その様子を見て、僕が安堵したその時、

店の大将が、

「はい、ブリかま焼きとだし巻き!」

という威勢のいい声とともに、

おっさんの前に食べ物を置いた。

 

食べるんかい!

 

僕はたまらず、店中に聞こえるような大声で

再びツッコんでしまった。

だが、おっさんは今度は怒らず、

「いつもはキムチだけやねんけど、

    今日は腹が減ってるから。

 そんな日もあるやん?」

と満面の笑みで答えた。

もう、可愛いから許す。

僕はそう思った。

 

ちなみにこのおっさんとは、

後にまた別の因縁があります。

それはまた別の機会に。

 

今回捕獲した酒モン

・憤慨タイプ

・レア度・・・☆☆