酒モン ゲットだぜ!!

  酒を飲んでいて遭遇・捕獲した酔っぱらいのモンスター達、略して「酒モン」について綴っていくブログ

酒を飲んでいて遭遇したモンスター達について綴っていくブログです。 長編・短編・色々とございます。

指を噛むおっさん

今回はJR吹田駅で飲んでいる時に

捕まえた酒モンの話だ。

 

その店は、外観の雰囲気は

メチャクチャいい感じの居酒屋なのだが、

中に入ると、汚いスナックみたいな風情で、

グダグダの客しかいないという

まさに理想的な店だった。

いや、別に全然、理想的やないねんけど。

 

その日、僕は立ち飲み屋、焼鳥屋に続き、

3軒目にその店に入った。

そこにはこの店でよく見かける

おっさん達2人が既にグダグダに酔っていた。

一人は僕と同い年なのに還暦くらいに

見えるおっさんで、もう一人は

いつも作業服を着ているおっさんだった。

僕も3軒目で、もちろんグダグダだったので、

異様なまでにスムーズにおっさん達に合流し、

瓶ビールを注文した。

 

すると、同い年のおっさんが、

「ちょっと儲かりそうなことを思い付いた。」

と、居酒屋での話題の中では、

避難勧告が出る「レベル4」に認定されている

「金儲け」の話題を始めた。

 

「この前、フライドポテトをつまみに

    飲んでてん。そしたら、酔っ払ってしもて、

    ポテトを食べる時に、ポテトを摘んでる指を

    間違って思いっきり噛んでしもたんや。」

同い年のおっさんは、

「なんで大人がそんなことになるねん?」

というような体験を話しだした。

 

「自分の指を思い切り噛んだことある?」

と、おっさんに聞かれたので、

ない、と答えると、

「ないやろ?  一回、自分の指を思いっきり

    噛んでみ。メチャクチャ痛いで!」

と、小学生が休み時間に話すようなことを

大真面目に話すおっさん。

 

 「それで俺、思い付いたんや。

     みんな気付いてないけど、

     噛むって、すごい武器になるって。」

 

たしかに、総合格闘技とかでも

「噛みつき」は反則行為とされてるので、

噛むというのはかなり危険な行為なのだろう。

しかし、この話のどこに

儲かる要素があるのか分からず、

おっさんの話の続きを待った。

 

おっさんは意気揚々と続ける。

「それでな、色んな噛み方を研究して、

    それを護身術として教える教室をやったら、

    流行るんとちゃうかな、と思ってん。

    若い女性とか、仕事帰りに

    習いに来ると思うねん。」

 

いや、おっさん!

若い女性が護身術として

「噛み方」を習いに来るわけないやろ!

だいたい、「色んな噛み方」って何なんや?

 

呆れている僕をよそ目に、

作業服のおっさんが質問する。

「どんな感じで教えるんや?」

 

同い年のおっさんは得意げに答える。

「入門してきたら、初日に、

    その生徒の指を思いっきり噛んで、

    どれほど痛いかを分からせるんや。

    それで、噛むことが武器になることを

     覚えさせたら、そこから、

     スパーリングみたいに、

     二人一組で噛み合いをしたりして、

     噛み方の技術を教えていくんや。」

 

その話を聞きながら僕は思った。

仕事帰りに護身術を習いに来た女性が、

最初の授業でいきなりおっさんに

指を噛まれたら、警察に通報するだろう。

そして、個室の中で、

二人一組で噛み合いをするってのも、

なんか風営法に引っ掛かりそうだ。

だが、こんなアホなことを真剣に考えて、

儲け話になると思ってるおっさんは

本当に素敵だ。

僕がメチャクチャ金持ちなら、

このおっさんの儲け話に投資して、

大失敗するところを見れるのに、

と思うと悔しくて仕方がなかった。

僕は、仕事を頑張って、

こんな時にポンと1千万円くらい投資できる

金持ちになろうと誓ったのだった。

 

 今回捕獲した酒モン

・迷走タイプ

・レア度・・・☆☆☆