酒モン ゲットだぜ!!

  酒を飲んでいて遭遇・捕獲した酔っぱらいのモンスター達、略して「酒モン」について綴っていくブログ

酒を飲んでいて遭遇したモンスター達について綴っていくブログです。 長編・短編・色々とございます。

カジノのおっさん

今回は大正(大阪市大正区)で遭遇した

酒モン(酒を飲んでて捕獲したモンスター)

の話だ。

 

その日、人生の何もかもが嫌になった僕は、

17時頃に会社を出て、

大正駅からだいぶ南下したところにある

居酒屋で飲んでいた。

その居酒屋は、大きな商店街の近くにある

沖縄風のホルモンが美味しいお店で、

店には僕の他におっさんが2人、

ご夫婦が一組の合計5人の客がいた。

そこにお店のマスターとママも加わり、

7人で喋りながら飲んでいたのだが、

たまたま店内のテレビで

「大阪の夢洲にカジノを作るべきかどうか」と

いうニュースが流れた。

よく、「宗教」と「政治」の話は

居酒屋ではするな、と言われているが、

案の定、このニュース番組をきっかけに、

店内では「大阪にカジノを作るべきか」という

テーマで白熱した議論になった。

そして、様々な議論が尽くされた末に、

店内にいる客は、なんと、

「賛成」と「反対」の二つの意見に分かれた。

いや、まぁ、何のことでも

だいたい意見はその二つに分かれるんやけど。

 

賛成派は

「世界中・日本中からお客さんが来るので、

    大阪の景気が良くなる」

というのが主な意見で、

反対派は、

「そんなことに使うお金があるのなら、

 高齢者の福祉に使った方がいい」

というのが主な意見だった。

どちらの言い分も間違ってはいないので、

なかなか結論が出なかったのだが、

そこにノリさんと呼ばれる

常連のおっさんがやってきた。

ノリさんは既に別の店で飲んでいて

来店時にはかなりの上機嫌だったのだが、

そのノリさんにマスターが早速意見を求めた。

 

舞洲にカジノができるとかできひんとか

 言うてるやろ? 

    今、みんなでその話をしててんけど、

 大阪に観光客がたくさん来るからいいと

    いう人と、カジノを作るお金を

    高齢者の福祉に使った方がいいという人とで

 意見が真っ二つに分かれたんや。

    ノリさんはどう思う?」

 

そう聞いたマスターに対してノリさんは、

今までどんな有能な政治家も

思い浮かばなかった案を提示した。

 

「そんなもん簡単や。老人にレースさせて、

 それに賭けるようにしたらええやんか。」

 

店内にいる全員の頭の中に

「?マーク」が浮かんでいたが、

ノリさんは続ける。

 

「まず、舞洲に、

    無料の大きな老人ホームを作って、

    たくさんの老人に住んでもらうんや。

    それで、老人ホームの庭を競技場みたいに

    して、そこに住んでる老人を歩かせて、

 レースをするんや。1枠から8枠まで

    8人の老人でレースをして、それにみんなが

    お金を賭けられるようにしたらええがな。

 レースの掛け金の何割かを税金として

    徴収したらええし、

    老人はレースに出る代わりに

    そこの老人ホーム代は全部タダにしたら、

 高齢者の福祉問題も一気に解決するがな。」

 

この突拍子もない意見に、

みんな頭が付いて行かず、

しばらく黙っていたのだが、

少しの沈黙の後、

あるおっさんが、こう言った。

 

「なるほど。一石二鳥やな。」

 

いや、全く一石二鳥とちやうし!

その状況を四字熟語で言うとしたら

「一石二鳥」やなくて「老人虐待」や!

「カジノも作れるし、高齢者の福祉も同時に

    実現できるし良かった」って誰が思うねん!

 

ちなみにこの

「歩いてる老人を対象にギャンブルする」

という設定がめちゃくちゃ面白いので、

「競婆(けいばあ)」というタイトルで

新作落語を書きますので、

この設定はパクらないでね。

まぁ、俺がノリさんの発想を

パクってるんやけども。

 

今回捕獲した酒モン

・迷走タイプ

・レア度・・・☆☆☆☆