酒モン ゲットだぜ!!

  酒を飲んでいて遭遇・捕獲した酔っぱらいのモンスター達、略して「酒モン」について綴っていくブログ

酒を飲んでいて遭遇したモンスター達について綴っていくブログです。 長編・短編・色々とございます。

稼いでいないおっさん達

今回は西宮市にある商店街の食堂で捕獲した

酒モン(酒を飲んでて遭遇したモンスター)

の話だ。

 

その店はおじいさんがやっている食堂で

昼間から夕方までは学生が

大盛の丼や定食を食べていたりするのだが、

夜は近所のおっさん達が、おかずをつまみに

飲んでいて、遅い時間になると、

店主も一緒になって、テーブル席で

飲んでいるような店だった。

 

僕はその店で、カツ丼とビールを頼み、

上の「カツとじの部分」でビールを飲み、

最後に出汁がビチャビチャに掛かっている

ご飯に七味をかけて食べるのが好きだった。

こんな上品で効率的な食べ方をしている

なんて、いかに僕が上級国民かが

ご理解いただけると思う。

 

その日も、カツ丼とビールで、

店主と常連さんのウダ話を聞きながら

飲んでいると、そこに、いかにも

「今、仕事が終わって、帰ってきました」

みたいな作業服のおっさんが入ってきた。

おっさんは店に入るなり、

大きなため息をつき、ガラスケースに

並べられていたおかずを一つ取り、

瓶ビールを注文した。

 

ナスの煮浸し的なものをつまみに

飲み始めたおっさんは、

ビールを口に含む前、

そしてビールを飲み込むたびに

ため息をついていた。

明らかに何かで悩んでいるようだ。

そして、テーブルの脇に置かれた

ドラえもんアンパンマン

小さなフィギュアを見て、

なんとも味わい深い独り言を言った。

 

「お前ら、2人でいくら稼いでるんや?」

 

おっさんの独り言は

そこそこ大きい声だったので、

みんなに聞こえたようで、

店内が、一瞬静まり返った。

おそらく店内にいた全員が、

自分の生涯賃金の数百倍、

いやそれ以上に稼いでいる

2人の男達のことを考えているのだろう。

2人の男達って言うと、

なんかカッコいいけど、

ドラえもんアンパンマンのことなんやけど。

 

結局、この後、店内の誰もテンションが

上がらず、会話もほとんどないまま、

静かに飲んで、閉店を迎えた。

みんな、ドラえもんアンパンマンに比べて、

明らかに自分の稼ぎが少ないことに、

ショックを受けたようだ。

そして、僕が帰ろうとお愛想をしている時、

店主がこう言った。

 

「みんなが暗くなるから、

   ドラえもんアンパンマンの人形、

   隠しとくわな。」

 

子供に夢を与えてきた2人の男達は

大人の希望を奪う2人の男達だった。

 

なんや、この終わり方!?

 

今回捕獲した酒モン

・悲哀タイプ

・レア度・・・☆☆☆