酒モン ゲットだぜ!!

  酒を飲んでいて遭遇・捕獲した酔っぱらいのモンスター達、略して「酒モン」について綴っていくブログ

酒を飲んでいて遭遇したモンスター達について綴っていくブログです。 長編・短編・色々とございます。

チャックのおっさん

今回は新開地(神戸市兵庫区)で

飲んでる時に捕獲した

酒モン(酒を飲んでて捕獲したモンスター)

の話である。

 

その日、僕は新開地の奥地にある

ホルモン屋さんで飲んでいた。

小さい頃から母親に連れられて

うろちょろしていた某地域にある

そのホルモン屋さんは、

「お世辞にも綺麗とは言えない」と

言うのさえはばかられるくらい汚い店だった。

でも、ホルモンはすごく美味しいし、

マスターもママもすごく優しいし、

とにかくいいお店だった。

こんなんでフォローできてるか?

 

そんな店なので、

お客さんもおっさんばかりで、

その日も僕とおっさん数人が店内のテレビで

デーゲームのタイガース戦を見ながら

ホルモンをつまみに飲んでいた。

 

そこに若い女性の二人組が入ってきた。

二人ともおしゃれで綺麗な女性で、

正直、店内の様子を見て、帰ると思ったが、

その二人は少し躊躇しつつも、

椅子代わりの生ビールの空タンクに腰掛けた。

そして、めったにこの店に来ない、

と言うか、来たこともないような

若い綺麗な女性を見て、

にわかに店内が色めき立った。

あるおっさんは、背筋を伸ばして座り直し、

またあるおっさんは着ているシャツの襟を

丁寧に整えていた。

別のおっさんに至っては、

自分のズボンのチャックが開いていないかを、

こっそり手で確認していた。

かく言う僕も、女性から喋り掛けられた時に

声が裏返らないように、

バレないように入念に咳払いをしていた。

 

店内のメニューを見た女性達は

瓶ビールを頼み、ホルモンも何本か頼んだ。

二人はビールを飲み始め、ホルモンを食べ、

「これ美味しいね」

などと言っていた。

そこに先ほど、チャックが開いてないことを

確認していたあのおっさんが、特攻した。

「お姉さん、ここのホルモン、

    美味しいやろ?」

見知らぬおっさんに掛けられて、

嫌がるのでは?と思ったが、

「はい、美味しいです!」

女性達は笑顔で答えた。

 

おっさん 「こっちのお姉さん、背高いね」

女性A     「173センチあるんです」

おっさん  「細いし、モデルさんみたいやな」

女性A     「そんなことないですよ〜」

おっさん 「こっちのお姉さんは、

                   この前のドラマに出てた

                   女優さんに似てるな」

女性B     「ええーっ、誰ですかぁ?」

    

えらく会話が弾んでいる。

これはこの後、綺麗なお姉さん達と

喋りながら、楽しく飲めるチャンスだ。

店内のみんながそう思っていたはずだ。

だが、そこで調子に乗った

チャックのおっさんに、

思わぬ落とし穴が待ち構えでいた。

 「おじいちゃんが190センチ以上あって、

     私が背が高いのは、その遺伝なんですよ」

そう言った女性Aに、

おっさんはこう返答した。

「190センチ以上!?   それは大きいな!

    棺桶に入らんかったんとちゃう?」

 

女性Aは途端に笑顔がなくなり、

「おじいちゃん、まだ生きてるんですけど!」

と明らかに怒気を含んだ声で言った。

 

その後、女性たちは僕を含む店の男どもと

話をすることもなく、最初に頼んだ

ホルモンとビールがなくなると、

さっさと帰ってしまった。

 

チャックのおっさんは、

股間のチャックを確認する前に、

自分の口にこそ、チャックをすべきだった。

 

あれ?  またうまいこと終われたぞ。

 

今回捕獲した酒モン

・高揚タイプ

・レア度・・・☆☆☆