酒モン ゲットだぜ!!

  酒を飲んでいて遭遇・捕獲した酔っぱらいのモンスター達、略して「酒モン」について綴っていくブログ

酒を飲んでいて遭遇したモンスター達について綴っていくブログです。 長編・短編・色々とございます。

新元号のおっさん マーク2

今回は短編。

おそらく平成最後の更新になるので、

今回も新元号にまつわる

酒モン(酒を飲んでて捕獲したモンスター)

の話だ。

 

今回、酒モンを捕獲したのは

尼崎にある某焼鳥屋さん。

僕はその店の

「アスパラガス炒め」が大好きなのだが、

「アスパラガス炒めがめっちゃ美味い店が

    あるから、行かへん?」

と友達を誘ったのに、

「わざわざ電車に乗ってまで

 アスパラガスを食いに行きたくない」

と拒否されたという、黒歴史がある店だ。

いや、別になんの黒歴史でもないねんけど。

 

元号が発表された数日後、

僕はその店で一人、ビールと焼鳥数本と

アスパラガス炒めを頼み、飲んでいた。

元号が発表された直後だったので、

飲み屋での話題もその話一色になっていて、

その焼鳥屋の店内でも

「見積書とか請求書の記載を

   全部、令和に変えるのが大変や」

とか

「会社案内を大量に印刷していて、

   平成35年度の目標値とか書いてあるけど、

   どうしよう?」

とか、そんな話で持ちきりだった。

その時、奥で一人で飲んでいたおっさんが、

こう言った。

 

「心配せんでもええ!

 そんなに慌てて切り替えんでも、

  5月を過ぎてもどうせしばらくは、

    平成のままや!

    年内くらいまでは、まだ平成を使ってて

    大丈夫や!」

 

いや、おっさん、

すぐに切り替えなアカンって!

年内は平成でいけるって、

元号をどう認識してるんや!?

 

そう思ったのは僕だけではなかったようで、

テーブル席のお客さんが

「おっちゃん、5月1日からすぐに

    令和に変わるんやで」

と言ったのだが、

おっさんはこう反論した。

 

「お前らは覚えてないかもしれんけど、

   平成も、昭和から切り替わるまで、

   結局3年くらい掛かったんやぞ!」

 

いや、すぐに切り替わったって!

はっきりと覚えてるし!

 

とりあえず、このおっさんだけは、

あと3年くらいは

平成が続くことになりそうだ。

ちなみに、なぜ「パート2」にせず、

「マーク2」にしたのかというと、

プロレス・スターウォーズ

「スピニングトゥホールド マーク2」から

影響を受けました。 

 

今回捕獲した酒モン

・誤解タイプ

・レア度・・・☆☆☆

 

チャックのおっさん

今回は新開地(神戸市兵庫区)で

飲んでる時に捕獲した

酒モン(酒を飲んでて捕獲したモンスター)

の話である。

 

その日、僕は新開地の奥地にある

ホルモン屋さんで飲んでいた。

小さい頃から母親に連れられて

うろちょろしていた某地域にある

そのホルモン屋さんは、

「お世辞にも綺麗とは言えない」と

言うのさえはばかられるくらい汚い店だった。

でも、ホルモンはすごく美味しいし、

マスターもママもすごく優しいし、

とにかくいいお店だった。

こんなんでフォローできてるか?

 

そんな店なので、

お客さんもおっさんばかりで、

その日も僕とおっさん数人が店内のテレビで

デーゲームのタイガース戦を見ながら

ホルモンをつまみに飲んでいた。

 

そこに若い女性の二人組が入ってきた。

二人ともおしゃれで綺麗な女性で、

正直、店内の様子を見て、帰ると思ったが、

その二人は少し躊躇しつつも、

椅子代わりの生ビールの空タンクに腰掛けた。

そして、めったにこの店に来ない、

と言うか、来たこともないような

若い綺麗な女性を見て、

にわかに店内が色めき立った。

あるおっさんは、背筋を伸ばして座り直し、

またあるおっさんは着ているシャツの襟を

丁寧に整えていた。

別のおっさんに至っては、

自分のズボンのチャックが開いていないかを、

こっそり手で確認していた。

かく言う僕も、女性から喋り掛けられた時に

声が裏返らないように、

バレないように入念に咳払いをしていた。

 

店内のメニューを見た女性達は

瓶ビールを頼み、ホルモンも何本か頼んだ。

二人はビールを飲み始め、ホルモンを食べ、

「これ美味しいね」

などと言っていた。

そこに先ほど、チャックが開いてないことを

確認していたあのおっさんが、特攻した。

「お姉さん、ここのホルモン、

    美味しいやろ?」

見知らぬおっさんに掛けられて、

嫌がるのでは?と思ったが、

「はい、美味しいです!」

女性達は笑顔で答えた。

 

おっさん 「こっちのお姉さん、背高いね」

女性A     「173センチあるんです」

おっさん  「細いし、モデルさんみたいやな」

女性A     「そんなことないですよ〜」

おっさん 「こっちのお姉さんは、

                   この前のドラマに出てた

                   女優さんに似てるな」

女性B     「ええーっ、誰ですかぁ?」

    

えらく会話が弾んでいる。

これはこの後、綺麗なお姉さん達と

喋りながら、楽しく飲めるチャンスだ。

店内のみんながそう思っていたはずだ。

だが、そこで調子に乗った

チャックのおっさんに、

思わぬ落とし穴が待ち構えでいた。

 「おじいちゃんが190センチ以上あって、

     私が背が高いのは、その遺伝なんですよ」

そう言った女性Aに、

おっさんはこう返答した。

「190センチ以上!?   それは大きいな!

    棺桶に入らんかったんとちゃう?」

 

女性Aは途端に笑顔がなくなり、

「おじいちゃん、まだ生きてるんですけど!」

と明らかに怒気を含んだ声で言った。

 

その後、女性たちは僕を含む店の男どもと

話をすることもなく、最初に頼んだ

ホルモンとビールがなくなると、

さっさと帰ってしまった。

 

チャックのおっさんは、

股間のチャックを確認する前に、

自分の口にこそ、チャックをすべきだった。

 

あれ?  またうまいこと終われたぞ。

 

今回捕獲した酒モン

・高揚タイプ

・レア度・・・☆☆☆

 

食べ放題のおっさん

今回は大阪駅近くで飲んでいる時に遭遇した

酒モン(酒を飲んでて捕獲したモンスター)

の話だ。

 

その日、あるイベントの打ち上げで、

裏方2人で飲みに行こうと思ったのだが、

遅い時間だったので開いている店がなく、

大阪駅近くのラーメン屋で飲むことになった。

かなり遅い時間だったのだが、

1階のカウンター席が見事に満席で、

2階のテーブル席に案内され、

ビールと餃子・唐揚などを頼み、

飲み始めた。

隣のテーブルでは、サラリーマンと思しき

50代くらいの2人組のおっさんが、

グッダグダに酔っぱらっていた。

すっかり出来上がっていた

おっさんたちの声はかなり大きく、

嫌でも会話が耳に入ってきた。

 

おっさんたちは、

「昼はランチで、夜はディナーで、

 朝御飯は何て言うんやったっけ?」

という話をしていた。

どちらもかなり酔っているので、

「ブレックファースト」という言葉が

出てこないようだった。

だが、しばらくして、おっさんAが突然、

「思い出した!」

と一際大きな声で言った。

「え? なになに?」

おっさんBも呼応する。

僕たちも聞き耳を立てる。

そして、おっさんAは

「モーニングや!」

と嬉しそうに言う。

おっさんBも

「そやった、そやった!」

と喜色満面で答えた。

 

いや、おっさん!

それは喫茶店のサービスや!

こいつら、相当酔っとるな!

と僕が思った瞬間、

一緒に飲んでいた裏方さんが

業を煮やしたのか、おっさん達に話しかけた。

「おっちゃん、

 朝食はモーニングとちゃうで。」

 

「え? ほんなら何やったっけ?」

おっさんAとBは、哀願するような目で

裏方さんを見つめる。

裏方さんは少し間を空けて、

得意気にこう言った。

「朝食はバイキングや!」

 

お前も酔うとるんかい!

朝食がバイキングのホテルも多いけど!

 

 

今回捕獲した酒モン

・誤解タイプ

・レア度・・・☆☆☆

新元号のおっさん

今回は、いつもの淡路(大阪市東淀川区)で

飲んでる時に捕獲した

酒モン(酒を飲んでて捕獲したモンスター)

の話である。

 

職場とか学校でもそうなのだろうが、

年が変わったあたりから、飲み屋でも

「新元号ってなんやろ?」という話題が

多くなっていた。

みんなで新元号を予想し、

はじめは「久和」とか「永安」とか

それらしいことを言っていて、

だんだん「節楠」とか「珍宝」とか

下ネタになっていき、最後は

「もういっそのこと、“ 淡路 ” でええやん!」

となるのが定番の流れだった。

 

そんなある日、いつも、

みちのくひとり旅の時の山本譲二のような

ブルゾンを着ている常連のおっさんが、

店にやって来た。おっさんは店に入るなり、

興奮した様子で、

 

「新元号が何か聞いたで!」

 

と言い出した。

知り合いのある筋から漏れてきた話らしい。

 山本譲二のようなブルゾンを着ている人間に

そんな情報が入るわけもなく、

絶対にガセネタなのだが、店内にいた客は、

一応おっさんの話を聞くことにした。

いや、山本譲二のようなブルゾンを着てても

そんな情報は入るんかもしれんけど・・・。

 

「新元号って、“元号 ” らしいで!」

 

そのおっさんは、

訳の分からないことを言い出した。

久しぶりに絵に描いたようなデマを聞いた

店内の人間はみんな、ツッコむこともせず、

すぐにその話題は終わった。

 

後日、その飲み屋に行くと、

おっさんが山本譲二のような

ブルゾンを羽織って飲んでいたので、

「この前の、新元号が “ 元号 ” って話、

    なんやったんですか?」と聞くと、

テレビで「平成の次の元号が・・・」と

言ってたのを聞き、

「平成」の次が「元号」だと勘違いしたと

白状した。

 

いや、どんな勘違いやねん!

知り合いのある筋からって

もっともらしい嘘ついてからに!

 

だが、その後、おっさんは、

「新元号はもう一回、 “ 昭和 ” がいいと思う」

という、誰も考えつかなかった

斬新な意見を出した。

理由が分からないので、なんでですか?と

聞くと、 

「今回の昭和12年には

    盧溝橋事件は起きんかったな、とか

 前回の昭和17年ミッドウェー海戦

    あったな、とか話が膨らんで面白いやん。」

と笑顔で答えた。

正直、ちょっとオモロいかも、と思った。

 

ってか、おっさん、

昭和〇年に何が起きたかについて詳しいな。

山本譲二のようなブルゾンを着てるのに。

 

え?

今回は山本譲二のブルゾンをディスる回なん?

 

今回捕獲した酒モン

・誤解タイプ

・レア度・・・☆☆☆

薬物使用疑惑のおっさん

今回の話は、捕獲した

酒モン(酒を飲んでて捕獲したモンスター)の

話ではなく、自分自身が酔っ払って

酒モンになった時の話なので、

書くかどうか迷ったが、

内容的に今が旬のタイミングの話なので

書かせていただきます。

 

その頃、僕は社会人になって2年目で、

学生時代に住んでいた神戸市東灘区の

アパートにそのまま住んでいた。

社会人になり、ボーナスも少しだがもらえて、

念願の自動車を購入し、

近くの駐車場を借りていた。

駐車場のオーナーさんは、近所の酒屋の

ご夫婦で、毎月の駐車場代は振込ではなく、

その酒屋に持参することになっていた。

安月給だったので、2ヶ月とか3ヶ月滞納して、

まとめて払いに行くこともよくあったが、

オーナー夫婦は怒りもせず、

「もう支払ってくれへんのかと思った」と

ニコニコ笑いながら言ってくれるような、

いいオーナーさんだった。

そんなオーナー夫婦にも欠点があった。

駐車場代を支払いに行った時に、

旦那さんの晩酌に付き合わないと

いけないのだ。それだけ聞くと、

「タダ酒を飲めて、いいやん」と思うかも

しれないが、旦那さんはすごい大酒飲みで、

夕方の6時に支払いに行くと、下手すると

日が変わるくらいまで、5〜6時間くらい.

晩酌に付き合わないといけなかった。

 

ある金曜の夜、僕は会社帰りの19時過ぎ頃に

2ヶ月分溜まっていた駐車場代を

支払いに行った。案の定、旦那さんは

酒屋の奥にあるテーブルで飲んでいて、

「お~い、今日も飲んで行くやろ?」

と満面の笑みで僕を呼び、

一緒に飲むことになった。

僕が席に着いた時、奥さんが、

ビニール袋に入った乾燥した草のようなものを

僕に手渡し、こう言った。

「この前、お腹が弱いって言うてたやろ?

 これ、丹波の山で採れた薬草を

    干したやつやねん。

 漢方薬としても売られている草で、

 少しずつちぎって白湯と一緒に飲んだら、

    お腹が弱いのも治るで。」

 

このご夫婦は、神戸市内に大きな駐車場を

いくつも持っているくらいの資産家で

兵庫県の北部に別荘も持っていて、

週末はそこで農作業などをして過ごしていた。

そこで採れた胃腸に効くという薬草を、

よく下痢をすると言っていた僕にくれたのだ。

そしてご想像通り、この乾燥した草のせいで、

後にとんでもないことになるのだった。

 

こうして大酒飲みの旦那さんと、

お酒は飲まないがよく喋る奥さんと、

僕の、3人の酒宴がスタートした。

旦那さんはビール党で、話をしながら、

ひたすら500mlの缶ビールを飲み続けた。

つまみはお店で売っている乾き物だ。

1時間が過ぎ、2時間が過ぎても、

宴は一向に終わる様子もなく、

気がつけば旦那さんと僕で、

500mlの缶ビールを20本近く飲んでいた。

 

「もう飲めないです・・・。」

かなり酔っぱらった僕がそう告げても、

「若いのに何を言うてるねん!

    明日も休みやろ?  もっと飲もや!」

と旦那さんは言い、さらに宴は続く。

文字通り、売るほどに酒があるので、

もうお酒もなくなったから

この辺でお開きで、ということもない。

 

結局、この日も、旦那さんが眠くなる

夜中の1時くらいまで酒宴は続いた。

大げさではなく、テーブルの上は、

500mlの缶ビールの空き缶だらけに

なっていた。たぶん、500mlの缶ビールを

1人15本以上は飲んでいたと思う。

僕はお店を出て、徒歩5分くらいのアパートに

帰ろうと歩き出したのだが、

すっかり酔っ払って、まっすぐ歩けない。

そして、1分ほど歩いたところで、

深さ50センチほどの溝に落ちてしまった。

そこから這い上がろうとするが、

頭がクラクラして、なかなか這い上がれない。

そこに運悪くパトカーが通りかかった。

優秀な日本の警察官は、

夜中に溝から這い上がろうとして、

なかなか這い上がれない男を

すぐに不審者と認定し、

パトカーを停車し、車から降りてきた。

「どうしたんですか?」

警察官は僕に聞く。

「酔っ払って、溝に落ちたんですが、

    フラフラでうまく這い上がれなくて。」

僕は正直に答える。

警察官は、二人で僕の手を引っ張って、

溝から救い出してくれた。

そして、

「この辺に住んでいる方ですか?

 一応、身分証明書とか

    見せてもらえますか?」

と聞いてきた。

 僕は上着のポケットから財布を出し、

免許証を見せたが、

その時、ポケットに入っていた

「ビニール袋に入れられた乾燥した草」も

出てきた。

優秀な日本の警察官は、

夜中に溝に落ちて、

フラフラな男が持っている

乾燥した草を見て、即座に怪しいと判断し、

「これなに?」

と聞いてきた。

僕は、

「さっきもらった薬草です」

と正直に答えるが、優秀な日本の警察官は、

薬草という響きに敏感に反応した。

「薬草!? ちょっと聞きたいことがあるから、

 そこの交番まで一緒に来てくれる?」

僕はパトカーに乗せられ、

最寄りの交番に行くことになった。

交番に着き、椅子に座り、話を聞かれる。

日本の優秀な警察官は、とにかく

「この草は何?」

の一点張りだった。

僕は、

駐車場のオーナーのところに

駐車場代を払いに行ったこと、

そこでビールをめちゃくちゃ飲んだこと、

薬草はそこの奥さんにもらったということを

何度も説明したが、

ベロンベロンに酔っていたので、

呂律もまわらず、うまく伝わらない。

 

「とにかくそこの酒屋さんに聞いてください」

と頼んだのだが、もう深夜なので、

酒屋さんに電話しても、出ないみたいで、

なかなか僕の無罪は証明されない。

 

「そもそも、ビールだけで

    そんなにおかしくならないでしょ?」

日本の優秀な警察官は、

ビールの力を過小評価していた。

「ビール以外に、その薬草を使って

    何かしてない?」

日本の優秀な警察官は、

薬草の力を過大評価していた。

 

小一時間そんな押し問答をしているうちに、

ようやく酒屋に電話が繋がったようで、

奥さんが薬草は自分が採ったもので、

漢方薬にもなっているものだと説明してくれ、

僕はなんとか無罪放免となった。

交番を出る時、日本の優秀な警察官に

「今度から、ややこしいことしないでね」

と言われた。

 

おい!

お前らが勝手に間違ったんや!

 

と思ったが、酔っぱらい過ぎて、

フラフラだった僕は大人しく帰宅した。

もう20年も前の話である。

そして、自らの証言によると、

ミュージシャンで個性派俳優でもある

あの人は、この頃から本物を

やっていたそうである。

 

今回捕獲した酒モン

・迷走タイプ

・レア度・・・☆☆

生き返ったおっさん

1つの店に長いこと通ってると、

常連さん同士が結婚したり、

常連さんが転勤で海外に行ってしまったり、

色んなことがある。

そして、最近見ないなぁと思っていた

常連さんが、実は亡くなられていたという

悲しいこともある。

そんな時は必然的に、

その常連さんを偲んで

みんなで飲むことになるのだが、

そんな場にも

酒モン(酒を飲んでて捕獲したモンスター)   

が出現することがある。

今回はそんなしんみりした時に出現した

酒モンの話だ。

 

九条(大阪市西区)に住んでいた頃、

よく通っていた居酒屋があった。

その店は、清原の

覚せい剤うたずに、ホームラン打とう」

という、今思えば皮肉としか言いようがない

ポスターが貼られている、

カウンターだけの居酒屋だった。

そこにいつ行っても見かける、

美味しんぼの副部長みたいな外見の

おっさんがいた。そのおっさんは、

いつも夫婦で飲みに来ていたのだが、

ある日を境に見なくなった。

常連さん達と、

あの夫婦、最近どないしたんやろ?

と言っていたら、数週間後に

奥さんだけが来店され、

旦那さんは亡くなられたとのことだった。

 

その後も奥さんは、

たまにその店で見掛けていたのだが、

副部長のおっさんが亡くなられて

2年が経ったある日もその店で会った。

奥さんは日本酒を飲みつつ、

他の常連さんや僕と話をしていたのだが、

突然こう言った。

 

「早いもので、夫が亡くなって、

    2回目の三回忌なんです。」

 

いや、奥さん!

2回目の三回忌って!

1回生き返って、また死んでるやん!

2回目の命日が来て、三回忌や!

 

ただ、その話を聞いた常連のおっさんは、

「2回目の三回忌」にツッコむこともなく、

こう言った。

 

「じゃあ、今日は旦那さんの

    死去二周年を記念して、

    みんなで飲みましょう!」

 

いや、おっさん!

死去二周年って言葉はないぞ!

記念ってのも、なんか祝ってる感が出てるし!

 

そして、みんなで飲みました。

副部長さん、向こうでも飲んでますか?

あ、なんか、泣けてきた。

 

 

今回捕獲した酒モン

・誤解タイプ

・レア度・・・☆☆☆

 

敵が気になるおっさん

今回は大正(大阪市大正区)で

飲んでる時に捕獲した

酒モン(酒を飲んでて捕獲したモンスター)

の話である。

 

その店は夫婦がやっていた

小さなホルモン屋さんで、

大正をパトロールする際には

よく立ち寄っていたお店だった。

開店1周年の時に、

トランプから一枚引いて

ハートのAが出れば3割引き、

その他のAが出れば2割引き、

ジョーカーが出ればなんと9割引き、

というキャンペーンをしていた。

その時に、僕がまさかのジョーカーを出して、

急に不機嫌になった店主に気を遣いながら、

散々飲み食いして、

320円を払って帰るという、世に言う

「大正9割引き事件」があった店でもある。

 いや、全く世に言ってないけど。

 

その店でよく顔を合わせていた

50代後半と思しきおっさんがいたのだが、

なぜか僕のことを気に入ってくれていて、

よく一緒に飲んでいた。

おっさんは飲む前から常にテンションが高く、

飲むとさらにテンションが上がり、

大声で駄洒落を言ったり、ふざけたり、

そこらの物を使ってボケたりしていた。

僕はその度に、ツッコんでいたのだが、

おっさんは僕のツッコミが的確で気持ちいい

と、いつも喜んでくれていた。

 

その日、僕は仕事を終え、

19時くらいからこの店で飲んでいた。

小一時間くらい飲んでいると、

そのおっさんが現れた。

おっさんは一軒目で

そこそこ飲んできたようで、

顔は赤くなっており、

なぜか慌てた様子でこう言った。

「ちょうどよかった、兄ちゃんがおって。」

 

何のことかよく分からず、

僕がおってよかったって、

どういうことですか?

と聞くと、おっさんは、

「さっき飲んでた店で聞いてんけど、

 あっちの居酒屋に今、

 めっちゃ陽気に騒いでる

 兄弟の酔っ払いがいるらしいねん。

 どんな酔っ払いか見に行かへんか?」

と言ってきた。

さっぱり意味か分からないので、

どういうことですか?

と再度聞くと、おっさんは

危機感に溢れた眼差しでこう言った。

「2人ともえらい酔っ払ってて、

   ものすごいハイテンションらしいんや。

   どんな奴らか気になるやろ?

 今後、俺らのライバルになるかもしれんし、

 偵察しとかんと。」

 

いや、気にならん!

俺らって、コンビにせんといて!

ライバルってなんやねん!

偵察してどうなるねん!

僕は、心の中でいっぱいツッコんだ。

 

いや、結局見に行きましたよ。

挙句の果てに4人で飲みましたよ。

最後はその兄弟におっさんを押し付けて、

トリオにして帰りましたよ。 

 

 

今回捕獲した酒モン

・高揚タイプ

・レア度・・・☆☆☆☆